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スリランカ通信(13)  リフレッシュ in キャンディ(3)「キャンディ湖畔」

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かわいい女の子


 外へ出てキャンディ湖畔を歩く。湿気が少なく風が涼しい。コロンボのじめっとした重苦しい空気ではない。爽快感漂う。やはり、ここは失恋男と来る所ではないのだ。俺は、昔愛した女と歩いている場面を想像して気分が高揚してきていた。それを現実に引き戻すバカが隣でわめく。

 「アホヌマさん、ぼくはね、彼女ではなく、彼女の幻影に恋してたのかもしれないな。ぼくの作り上げた幻影を…。」
 失恋男は過去を回想するかのように視線を宙に漂わせ、しみじみとした調子で言う。自分の言葉に酔っているようだ。幻影なんて言葉、どこで覚えやがったんだ。それにしても、やつの発音が気になる。「アオヌマ」なのに「アホヌマ」と聞こえる。まさか、わざとじゃあるまいな。

(つまらぬやつだ。だから、お前はふられるんだ。)と、でかかった言葉を飲み込んで、
「つまら、いやぁ、つまり、お前は恋に恋してたってわけだな。じゃあ、もう、大丈夫だろう。すぐ立ち直れるよ。」俺は励ますふりをして応えてやった。
「新しい恋がすぐみつかるさ。また、恋に恋かも知れんけど…。」
(そして、事実、本当にすぐ見つかったのだった。)

 腹ごしらえに近くのレストランへ行く。やつの気分もほぐれてきたようだし、この辺でビールでも飲みながら更にリフレッシュ気分に浸らせてやろうと店に入るが、数件回ってもアルコール類は置いてなかった。お寺の近くのためだろうか。しかたなく、最後に行き着いた店で、フライドライスに中華料理のぶっ掛けごはんとコーラ、それと、デザートにアイスクリームとフルーツを頼む。

 一皿の量が多い。サウジでもそうだったがわんさかと山盛りにして出てくるのだ。結局、食べきれず、3分の1を残したまま、デザートを運んでくれるように言った。かわいい女の子だった。年のころは20か、いやあ、18かもしれない。コロンボでは見たこともない純朴さも持っている。デザートをテーブルに並べた。だが、これは自分たちが頼んだものではない。隣の席のものと間違えたらしい。そこで、すぐ、頼んだものを持ってくるように言いつけたのだが、なかなか出てこない。どうやら、オーダーが入っていなかったらしい。新しく作っているのだ。何てことだ。自分たちより遅く来た客が、先に食べ終わって帰って行くではないか。おまけにお酒にもありつけなかったし…。ええいっ、くそっ、あのウェートレスがいけないのだ。ボーっとして仕事をしているから。なぜか無性にイラついてきた。

 俺はその子を呼びつけて、ねちねちと説教し始めた。「俺たちが頼んだのはアイスクリームとフルーツが別々のもの。お金を払うとき何度も言ったじゃないか。何で、もっとしっかりしないんだ。」女の子はうつむいたまま唇をかんで下を向いていた。今にも泣き出しそうな顔をして、それをじっとこらえている。そんな女の子をさらに威圧してやろうと詰め寄る。すると、あの気弱な失恋男が俺の前に立ちはだかり、俺の顔面めがけてパンチを食らわせたのだった。
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キャンディ湖


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コメント

アホヌマさん、ものすごい急展開ですね。楽しくなりそうです。

女性の写真ありがとうございます。彼女たちの右背後にあるのはなんでしょう?神様かな?

投稿: おさむ | 2008年8月29日 (金) 14時28分

おさむちゃん、
アホヌマデス。
背後にあるから背後霊では。。。

キャンディ編も後1回で終わりです。
苦しい展開なのです。

投稿: 青沼国夫 | 2008年8月29日 (金) 16時41分

20年の海外生活。
しかしながら、近代を経てきた国々での生活だから、日本とそれほど変わりません。アフガンやイラクのように原始時代の戻されたらいざ知らず。。。
ただ、いろんな考え方があって、いろんな暮らしがある。それはたしかに日本(人)という枠からずれているけど、その時のその人々のおかれた環境、状況の中で生きてるわけで。。。
ああ、それでいいんだな、肩肘張らなくても委員棚と重くことが多い。
過去にしがみつくでなく、
未来に期待する出なく、
今の、この瞬間を
自分なりに生きていけばいいんだなって。
そのプロセスには悶々とするときもある。
それは時折めぐってくるのかなと。
真理に一歩近づいたとしても、
また一つ「悶』がやってきて
迷いや邪心が生じて。。。

今、オレも「悶々」としながら、
こいつとたわむれてます。

投稿: 青沼国夫 | 2008年8月29日 (金) 16時50分

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