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2008年8月

スリランカ通信(13)  リフレッシュ in キャンディ(3)「キャンディ湖畔」

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かわいい女の子


 外へ出てキャンディ湖畔を歩く。湿気が少なく風が涼しい。コロンボのじめっとした重苦しい空気ではない。爽快感漂う。やはり、ここは失恋男と来る所ではないのだ。俺は、昔愛した女と歩いている場面を想像して気分が高揚してきていた。それを現実に引き戻すバカが隣でわめく。

 「アホヌマさん、ぼくはね、彼女ではなく、彼女の幻影に恋してたのかもしれないな。ぼくの作り上げた幻影を…。」
 失恋男は過去を回想するかのように視線を宙に漂わせ、しみじみとした調子で言う。自分の言葉に酔っているようだ。幻影なんて言葉、どこで覚えやがったんだ。それにしても、やつの発音が気になる。「アオヌマ」なのに「アホヌマ」と聞こえる。まさか、わざとじゃあるまいな。

(つまらぬやつだ。だから、お前はふられるんだ。)と、でかかった言葉を飲み込んで、
「つまら、いやぁ、つまり、お前は恋に恋してたってわけだな。じゃあ、もう、大丈夫だろう。すぐ立ち直れるよ。」俺は励ますふりをして応えてやった。
「新しい恋がすぐみつかるさ。また、恋に恋かも知れんけど…。」
(そして、事実、本当にすぐ見つかったのだった。)

 腹ごしらえに近くのレストランへ行く。やつの気分もほぐれてきたようだし、この辺でビールでも飲みながら更にリフレッシュ気分に浸らせてやろうと店に入るが、数件回ってもアルコール類は置いてなかった。お寺の近くのためだろうか。しかたなく、最後に行き着いた店で、フライドライスに中華料理のぶっ掛けごはんとコーラ、それと、デザートにアイスクリームとフルーツを頼む。

 一皿の量が多い。サウジでもそうだったがわんさかと山盛りにして出てくるのだ。結局、食べきれず、3分の1を残したまま、デザートを運んでくれるように言った。かわいい女の子だった。年のころは20か、いやあ、18かもしれない。コロンボでは見たこともない純朴さも持っている。デザートをテーブルに並べた。だが、これは自分たちが頼んだものではない。隣の席のものと間違えたらしい。そこで、すぐ、頼んだものを持ってくるように言いつけたのだが、なかなか出てこない。どうやら、オーダーが入っていなかったらしい。新しく作っているのだ。何てことだ。自分たちより遅く来た客が、先に食べ終わって帰って行くではないか。おまけにお酒にもありつけなかったし…。ええいっ、くそっ、あのウェートレスがいけないのだ。ボーっとして仕事をしているから。なぜか無性にイラついてきた。

 俺はその子を呼びつけて、ねちねちと説教し始めた。「俺たちが頼んだのはアイスクリームとフルーツが別々のもの。お金を払うとき何度も言ったじゃないか。何で、もっとしっかりしないんだ。」女の子はうつむいたまま唇をかんで下を向いていた。今にも泣き出しそうな顔をして、それをじっとこらえている。そんな女の子をさらに威圧してやろうと詰め寄る。すると、あの気弱な失恋男が俺の前に立ちはだかり、俺の顔面めがけてパンチを食らわせたのだった。
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キャンディ湖


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スリランカ通信(12)  リフレッシュ in キャンディ(2)「仏歯寺」

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仏歯寺


 仏歯寺、仏陀の歯が安置されておりDalada Maligawa と地元の人は呼ぶ。B.C.547年に仏陀が火葬(本当か?)されて後、インドから密かにスリランカに持ち出されたのは4世紀といわれている。インドのオリッサ州のカリンガ王子が頭髪の中に隠して持ち込んだものらしい。この仏歯はアヌラーダプラに奉納されて以来、転々と当時の首都を経由して1590年にキャンディに到達したといわれている。仏歯のある所が都の置かれる場所なのである。したがって、スリランカ人の仏歯に対する思いは尋常ではないと想像できるのである。

 キャンディ市内に到着した。レストランあり、土産物屋さんあり、たくさんの人が繁華街を往来している。にぎやかだ。人々の表情も明るい。コロンボの閑散とした寂しさがない。居心地の良い場所だ。散策できる所もある。住んでみたい。タイで暮らしていたころ、チェンマイに対して抱いた印象と同じだ。繁華街の一角に大きな湖がある。キャンディ湖だ。そして、その湖畔に仏歯寺がある。

 なかなか警戒が厳しい。2箇所でセキュリティ・チェックがはいる。身体検査ではなんと急所まで触られた。(そんなことをしてどうするというのだ。警備員の個人的趣味か。どさくさに紛れてやられたって感じだ。やつの目が妖しく光ったのを俺は見逃さない。)境内は広い。インドのバンガロールで見た寺院と雰囲気が似ている。本堂の前で2回目のチェック。今度は外国人料金500ルピーを払えと言われた。失恋男が助け舟を出してくれた。「この人はケラニア大学の先生で観光客ではない。」とか何とか言ったらしい。おかげで無料通過。しかしここでも急所チェック。(なんだこいつら、変態の集まりか。)そう思いつつも、どういう風に言葉を紡いだらいいのか、イメージがわかない。まともに触られたわけでもない。とりあえずボディ・チェックなのだから…。微妙なのだ。う~む、やつらの技ありというところか。こだわっても仕方がない。握られたわけではないし。とにかく中へ進む。

 いよいよ納骨堂ならぬ「納歯堂」へ。ここにもたくさんの人がいる。女性が圧倒的に多いようだ。それも、うら若きランカ乙女たちが座り込んで祈っている。どの人も、さびしそうな憂いを含んでいて、それはそれで気になる。お~い、みんな失恋者かい? 恋に疲れた女がオオゼイ…。失恋男も神妙な顔をして、目をつぶり、手を合わせている。(そうそう、そうやって、これまでの自分の限りなき欲望を深く懺悔しなさい、六根清浄、六根清浄。)

 新館というのが隣にあって博物館になっていた。失恋男が以前来たときはなかったという。一緒に見学した。この仏歯寺は10年前にLTTEに攻撃され、数名が死亡。建物も破壊された。その時の悲劇の写真がパネルになっている。この寺も辛い思いをしているのだ(合掌)。その他、仏歯の行脚の軌跡も展示されている。面白いのは、外国人が寄付したという外国の貨幣を国別に揃えて陳列していることだ。(まあ、他に展示するものがないという残念なことを示してもいるのだが。)また、タイと同じテラワーダ仏教ということで、タイから寄進された仏像の姿も見える。スリランカとタイ、俺の知らない所で結ばれている。深い縁があるのだ。
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土産物屋


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